判 決
主 文
1 原告が、被告に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は、原告に対し、平成16年10月から本判決確定の日まで、毎月25日限り月額47万3831円の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告に対し、836万1382円及びこれに対する平成16年12月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用はこれを5分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
6 この判決は、第2項及び第3項に限り、仮に執行する事ができる。
判決文全文は、そのうちupします
原告 記者会見コメント
解雇・提訴から3年半、大変長く険しい道のりでした。
判決内容は、私としては全く当然の内容ではありますが、労災が不支給になった事、途中何度も症状が悪化したことなどを考えると、全面勝訴する事ができた事を大変うれしく思います。ただ、私が受けた苦痛を考えると、慰謝料が低い事が残念です。
日本の慰謝料のあり方については、問題があるのではと思いました。
先日3月14日に、同じ職場で私が休職した3か月後に自殺した同僚も労災と認められました。東芝は、今回の判決を真摯に受けとめ、同じ職場で2名自殺、1名がうつ病休職した訳だから、当然職場に問題があった事を潔く認めて反省し、控訴などせず、2度とこの様な悲劇が起きないように環境改善を行う事を強く望みます。
労災行政では、すでに熊谷労働基準監督署、埼玉労働局、労働保険審査会で不支給となっています。会社側に有利に働いている労災行政については、改善を強く求めます。
最後に、ご支援いただいた皆さん、公正な判決をしていただいた裁判官、たくさんの人に感謝したいと思います。ありがとうございました。
原告 重光由美
弁護団コメント
(弁護士ホームページより)
2008年4月22日、東京地裁において、株式会社東芝の社員がうつ病に罹患したのは過重業務が原因であるとし,解雇は無効であるとの判決が言い渡された。
原告は,被告株式会社東芝に就職し勤務していたところ,平成12年11月頃より被告会社内で発足したプロジェクト業務に従事し,長時間残業・休日出勤や各種会議開催等の過重な業務により,業務上の過度のストレスを受け,そのためにうつ病に罹患し,平成13年9月4日より休業を余儀なくされた。そして,東芝は,原告が業務上の疾病に罹患しているにもかかわらず,休職期間満了を理由に,平成16年9月9日付けで解雇する旨の通知を同年8月6日に行った。
本件は,原告が東芝に対し,解雇の無効確認(労働契約上の権利を有する地位にあることの確認),並びに,治療費・賃金と傷病手当金等との差額分・慰謝料等及び平成16年9月以降の賃金を請求した事案である。本日の判決は,原告側の主張をほぼ全面的に認め,
1 原告のうつ病発症(平成13年4月)は,平成12年12月から同13年4月にかけての長時間労働等業務に起因するものであり,
2 労基法19条1項により,解雇は無効であり,賃金の支払いを命じ,
3 被告に対し安全配慮義務違反があったとして損害賠償を命じた。
本判決は、今日の日本の職場の状況に照らして,画期的な意義を有する。
1 即ち,過重な業務が原因でうつ病に罹患した労働者を,会社が一方的に解雇するなど不利益取扱いをするケースが多い。本判決は,被告会社を含め日本の企業に対して重大な警告を発するものである。
2 また,本件で熊谷労基署の業務外決定の誤りが事実上明確となった。労働行政は,労働者を保護するべき役割を今後きちっと果たすことが強く求められる。
3 本件被告東芝は,日本の代表的な企業である。本判決を真摯に受け止め,職場を改善し,労働者の健康を守るよう抜本的に努力すべきである。
(株)東芝社員うつ病事件の解雇無効確認等請求訴訟
事件の概要と判決内容、本件訴訟の意義について
弁護団ホームページに載っています
http://www.cpi-media.co.jp/kawahito/hanrei/hanrei.htm
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