厚生労働省への要請行動で、発言した原稿です。
厚生労働省には言いたい事がたくさんあったのですが、持ち時間が5分だったため、かなり短くしました。
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要請書
1.住所 氏名略
2.被災者 重光由美 本人 ○○歳(被災時35歳)
3.(株)東芝深谷工場、液晶開発技術者
4.2001年4月11日 うつ病
5.労災不支給後、東京地裁に提訴、地裁で勝訴確定し労災認定中
6.私は、東芝深谷工場で、液晶の開発技術者として働いていましたが、大変な激務やきついノルマ、上司のパワハラ等で、うつ病を発症し、休職に追い込まれました。発症した当時、同じ職場の同僚が2名自殺しており、大変過酷な職場だったことは明らかです。会社には、労災と認めるように求めましたが、認められず、解雇されました。熊谷労働基準監督署に相談に行ったときは、労災申請をして欲しくない態度がミエミエで、廊下に貼ってあった「労災隠しは犯罪です」というポスターが白々しく感じました。
労災申請後は、審査官は熱心に調査をしてくれましたが、信じられないことに、労災は不支給となりました。不支給の理由は、「長時間残業が認められるが、上司や同僚がたいした業務ではないといっているので負荷の強度が軽となる」でした。しかし、私は、当時の業務の資料を多数入手しており、それらの資料には、「トラブル多発、対策会議開催」「スケジュールが大幅に遅れ」等々書いてあり、業務に詳しくない人が見ても私の担当業務の負荷が高かったことは明らかです。
労災不支給後、審査請求、再審査請求をしましたが、再審査請求の公開審査では、審査官に「私達は専門資料を見せられても業務内容はわからない。上司や同僚の証言に頼るしかないのよ」と言われました。しかし、会社が労災隠しを企て、社員に口裏を合わせて嘘をつかせる事がある事は周知の事実で、だからこそ労基署にも大きく「労災隠しは犯罪です」というポスターが貼ってあるはずです。トラブル多発、と書かれてある資料を見ても、業務の負荷がわからないから会社の証言のみを採用するのであれば、労災認定方法に大きな問題があるのではないでしょうか。結局、労災は再審査請求まで、全て不支給になりましたが、平行して行われていた、東芝との解雇裁判では、私の病気の原因が業務上であることや会社の過失を全面的に認める全面勝訴判決が出ました。一年後には行政訴訟でも勝訴し、厚労省が控訴しなかったため判決が確定し、労災認定されました。裁判では連続勝訴し、会社の過失も全面的に認めたのです。判決と比較しても、現状の労災行政は、会社寄りで、大きな問題があると言わざるを得ません。
さて、地裁後即日控訴した東芝は、労災認定後も、東芝の産業医の意見書を裁判所に提出して「業務上ではない」と、厚生労働省の労災認定を真っ向から否定する書面を裁判所に提出しました。東芝は、メンタルへルス対策をしていると公言しており、厚生労働省主催の「心の健康づくりシンポジウム」では、東芝の産業医が発表をしているのです。その大企業東芝が、厚生労働省の決定を裁判で否定するとは言語道断、厚生労働省は、労災を発生させた東芝に厳しい指導をすべき、と言いたい所ですが、熊谷労基署には、「労災が発生したのは10年以上前、労基署の段階では不支給になっているし」等々言われ、労災を発生させた大企業の責任を問う気など全くない態度でした。厚生労働省は、社会問題となっている自殺やうつ病を対策する気はあるのですか?大企業への天下りばかり考えているのではないですか?
厚生労働省が今後、きちんとしたメンタルへルス対策をすることを期待し、行政訴訟で勝訴した時にテレビニュースで流れた私のコメントで締めくくりたいと思います。「こんなに長い時間やお金をかけないと労災と認められない今の労災行政は、絶対におかしいです。国は、労災行政が、労働者のためにあることを再認識し、私のように、精神を病んで労災申請をしなければならない人が、減るような対策を行って頂きたいと思います。」
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