毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m040138000c.html最高裁:東芝解雇元社員の賠償減額判決を破棄し、差し戻し
毎日新聞 2014年03月24日 23時37分
過重労働でうつ病となり、休職後に解雇された東芝元社員、重光由美さん(47)=埼玉県深谷市=が同社に賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は24日、重光さんにも過失があったなどとして1審の賠償額を減らした2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。
東京地裁は2008年、解雇無効を認めて未払い賃金と損害賠償計約2800万円の支払いを命じたが、東京高裁判決(11年)は重光さんが神経科への通院を会社側に申告していなかったことなどを理由に賠償額を減らした。
最高裁では減額理由の妥当性が争われ、小法廷は重光さんが会社側に体調不良を訴え、欠勤していたことなどを理由に「会社は業務軽減措置をとることは可能だった」と判断。改めて賠償額を算定させるため、審理を高裁に差し戻した。
判決によると、重光さんは埼玉県の工場で00年から液晶生産ラインの開発などを担当。01年にうつ病と診断され欠勤し、04年に解雇を通知された。解雇無効は2審で確定している。【和田武士】
朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASG3S54NWG3SUTIL01W.htmlうつ理由に解雇、社員の落ち度認めた二審破棄 最高裁
2014年3月25日01時31分
長時間労働が原因でうつ病を発症したのに不当に解雇されたとして、東芝(本社・東京都港区)の工場で働いていた女性社員が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は24日、社員側の落ち度を理由に賠償額を減額した東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。高裁では、東芝が支払うべき額が上積みされる見通しだ。
訴えていたのは、埼玉県深谷市の重光由美さん(47)。2008年4月の東京地裁判決は、未払い賃金と慰謝料など計2700万円の支払いを東芝側に命じたが、11年2月の高裁判決はこのうち慰謝料などについて、重光さんが通院状況を会社に申告しなかったなどとして2割を減額した。
解雇無効の訴えは一、二審とも認め、すでに確定。上告審の争点は賠償額だった。この日の判決は、高裁が減額理由とした事情は「社員側の責めに帰すべきではない」と判断した。
判決によると、重光さんは液晶生産の技術部門を担当。プロジェクトリーダーとして時間外労働や休日・深夜の勤務を余儀なくされてうつ病を発症し、04年に休職期間が満了したとして解雇された。
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO68799700V20C14A3CR8000/心の疾患「会社に配慮義務」 最高裁「社員の申告なくとも」
2014/3/25 1:41 記事保存
会社員が過重労働で鬱病になった場合、過去の精神科通院歴などを会社側に申告していなかったことが社員側の過失に当たるかが争われた訴訟の上告審判決が24日、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)であった。同小法廷は「メンタルヘルスは申告がなくても(会社側に)安全配慮義務がある」と判断し、過失相殺などを理由に損害額の2割を減額した二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。
訴えていたのは東芝の元社員で埼玉県深谷市の重光由美さん(47)。解雇無効と損害賠償を求めて提訴し、解雇無効は二審で確定している。
東芝側は(1)精神科への通院歴などを申告しなかったため、会社側が鬱病の発症回避などの対応を取れなかった(2)業務を離れても鬱病が完治せず、もともと重光さん固有の問題があった――などと主張。重光さん側の過失を理由に損害額を減額できるかが争点だった。
同小法廷は、重光さんの当時の業務について「負担は相当過重だった」とした上で、通院歴や病名について「プライバシーに関わり人事考課にも影響しうる情報で、通常は知られずに働き続けようとする」と指摘した。
会社側について「労働者からの申告がなくても、労働環境などに十分な注意を払うべき安全配慮義務を負う」と判断。重光さんが体調不良を上司に伝え、1週間以上の欠勤を繰り返していたことから「(会社側は)過重な業務と認識しうる状況だった」とした。
鬱病が完治しない状況についても「通常想定される以上の脆弱性があったとは言えない」と認定。賠償額を約690万円と算定した二審判決を破棄し、計算し直すため高裁に差し戻した。
判決によると、重光さんは大学卒業後に東芝に入社し、工場で液晶生産ラインの開発などを担当。プロジェクトリーダーを務めていたが、2001年4月に鬱病と診断され休職。前年に神経症との診断を受けたが、会社には伝えていなかった。会社は04年9月、休職後に職場復帰しなかったとして重光さんを解雇した。
2014年03月24日 共同通信の配信
社員の過失で減額、認めず
解雇無効の賠償金
長時間労働でうつ病となり東芝を解雇された女性が原告となった訴訟の上告審判決で最高裁第2小法廷は24日、解雇無効が確定した女性への賠償について、「女性側の過失を理由に減額すべきではない」と判断した。
二審東京高裁判決は、神経科への通院や病名を早く申告していれば、会社が悪化を防ぐ措置をとることができたなどとして、賠償額を2割減らしていた。最高裁はこの判
決を破棄し、あらためて賠償額を算定するため審理を高裁に差し戻した。
判決で鬼丸(おにまる)かおる裁判長は「積極的な申告がなくても、会社は労働者の心身の健康に配慮する必要がある」とした上で、今回のケースでは女性が体調不良や業務の軽減を繰り返し申し出ており、会社が悪化を防ぐことができたと指摘。減額は認められないと判断した。
判決によると、原告の重光由美さん(47)=埼玉県深谷市=は、地元の東芝工場で液晶生産ラインの開発などを担当。2001年4月にうつ病と診断され10月から欠勤した。会社は04年9月に解雇した。
重光さんは判決後の記者会見で「私の過失を安易に認めた高裁判決が否定され、大変うれしく思う」と話した。
長時間労働と病気の因果関係を認め、解雇を無効とする司法判断は二審で確定し、上告審の争点は、重光さんの過失分を賠償額から差し引くかどうかに限られていた。
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